日本の観光絵はがき保存会

観光地の写真を印刷して、10枚前後のセットで観光地で売っている絵はがきは、かつて旅の記念品の定番でしたが、デジタルカメラ、スマートフォンで誰もが写真を気軽に撮れるようになったため、絶滅の危機に瀕しています。 それらを記録にとどめ、後世に伝えるためにサイトを作成しました。

絵はがきの時期推定

 このページでは、入手した絵はがきが「いつごろ製作されたものか」を推定する方法について記述しています。戦後の観光セット絵はがきを対象としているので、昔のことは割愛します。ご了承ください。

ケースの情報

 観光地の絵はがきは何年にも渡って販売されるため、発行された年をはっきり記載していません。

  しかし、絵はがきを入れているケースに時期を推定できる情報が印刷されていることがあります。○○年に何々があった的な記述があればその時期以降と考えて良いでしょう。残念なことに、ほとんどの絵はがきケースには直接年代を示すような記述がありません。(ただし、絵はがき本体の説明などから情報を得られる場合もあります。)

 毎年発行されている(「さっぽろ雪まつり」など)ものや、博覧会を記念したものを参考にして、絵はがきの年代感を掴むことを試みたいと思います。示準化石のようなものとして、博覧会の絵はがきは収集しておくと何かと便利です。

 ケース自体を郵便として送るように作られている場合、そこに「第四種郵便」とあれば1954年(昭和29年)までの発行、「第五種郵便」とあれば1954年から1966年(昭和41年)までと推定できます。

 これは、絵はがきをケースのまま送る際に、通信文を入れないことで「印刷物」として安く送ることができる第四種郵便または第五種郵便の制度がかつてあったことによります。

 1968年(昭和43年)からは郵便番号制度が施行され、ケースにも枠が入ったりすることで、時期を特定する手がかりになります。郵便番号枠は、はがき本体にも印刷されますので、別途ご説明します。

絵はがきのサイズ

 昭和30年台後半に、日本における絵はがきの標準的なサイズは長辺が150ミリメートル、短辺が100ミリメートルに大型化したと考えられます。それ以前の絵はがきはは長辺140ミリメートル、短辺90ミリメートルが標準でした。1966年(昭和41年)には官製葉書のサイズが大型化していますが、私製の絵はがきの方が大型化は先行したと見ています。

 なお、はがき料金で送ることができない巨大サイズの絵はがきも存在しますが、昭和40年代のものではないかと推測しています。

 現在の郵便約款によると、はがきとして送ることのできる最小サイズは90x140mm、最大は107x154mmとなっています。封筒と違って意外と許容範囲が少ないです。

郵便番号の枠

 1968年(昭和43年)7月に郵便番号制度が始まりました。当時の郵便番号は5桁で末尾2桁が先頭3桁より小さく印刷されていました。郵便番号を記入する枠は赤で印刷することを要求していたので、それまで灰色で印刷されていることが多かった絵はがきの通信面の様相が大きく変わることになりました。赤色で郵便番号の枠が記載されていれば、1968年以降のものと推定できます。

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郵便番号枠の例(5桁)

 1989年(平成元年)には、末尾2桁の枠のサイズが大きくなり、5桁とも同じサイズになりました。

 1998年(平成10年)に郵便番号は7桁になり、今日に至っています。しかし、最近の絵はがきには郵便番号の枠は印刷されていないことが多いです。したがって、郵便番号枠がないから1968年以前と推定することはできませんが、手がかりにはなるでしょう。

郵便料金

 絵はがきの切手貼付部分に郵便料金を印刷しているものは、時期の推定に役立ちます。以下に郵便料金(葉書のみ)を示しますが、実際には1980年以降の郵便料金が印刷されているものはまずありません。

 7円 1966年から1972年

 10円 1972年から1976年

 20円 1976年から1980年

 30円 1980年

 40円 1980年から1989年

 41円 1989年から1994年

 50円 1994年から2014年

 52円 2014年から2017年

 62円 2017年から2019年

 

 はがき本体だけでなく、ケースを郵送するための切手貼付のスペースに郵便料金が書かれていることもあります。その場合は、当時の郵便料金表などを探して調査する必要があります。

絵はがきの被写体

 絵はがきに写っているものが人工物(建物、橋、鉄道など)であったり、観光施設であれば、それらの情報から年代推定が可能です。